tocotoco workshop 2015 @ バンクン教員養成校 & トンカム小学校

20151113日、ラオスの首都ヴィエンチャンから約70㎞離れたところにある村バンクンにて、今年もtocotocoworkshopを開催しました。今年の目的は「バンクン教員養成学校の学生にtocotocoworkshopを体験してもらい、その後学生が先生となって実際に小学校の教壇に立ちworkshopを実践する」ことです。

昨年、私達はバンクンにある小学校で児童達にworkshopをやらせて頂きました。小学生達が楽しそうに紙や布から自分自身の体を作ったり、歌ったりしながら学ぶ姿が記憶に残っています。その際に現地の小学校教員や、日本からラオスへ教育に関する支援を行っている方から「ラオスの学校は教科書の読み書きが中心で子ども達自身が手を動かし学ぶ場はほとんどない」と伺いました。そこで今年はカラフルで色々な素材を使った教材を使ったり、歌を歌ったりして楽しく学ぶtocotoco流の学びの形をworkshop「たべもののとおるみち」を通してこれから教師になる学生たちに伝えることにしました。


 参加してくれた学生は教員養成学校の理科系専攻の3年生30名。教育実習もまだしたことがなく、今回はじめて小学校の教壇に立つということもあって当日の朝は緊張している様子でした。

実際のところ当日のスケジュールは午前中にworkshopの体験・キット(教材)作り・workshopの進行練習、午後に小学校にて学生主体のworkshop開催、とかなりハードに組んでいたので、学生達にボリュームが多すぎたかもしれないという不安が私達にもありました。

ところが、tocotocoworkshop「たべもののとおるみち」がはじまると学生達は楽しそうな笑顔に変わり、意見もどんどん出てくるように。「この教材が素晴らしかった。普段はこのようなものがないから、なかなか難しい」と、まさに私たちがポイントにしようとしていた意見も出てきて、そこからどうやったら自分たちでも教材が用意できるか、というところに議論が進みました。これは私たちにとって非常に嬉しい誤算でした。

というのも、双方向の発言を大事にするworkshopをはじめて体験する学生たちにとって、子ども達と一緒にやるworkshopを行うことは難しいのではないか、また、tocotocoのオリジナルキットは普段の教材とかけ離れていて、自分たちで作ろうという気になってくれないのではないか、と危惧していたからです。

しかし、ラオスの学生達は私たちが教えたworkshopの内容を自分たちでやるためにはどうすればいいか、と意見をどんどん出してくれたのでした。

 小学生達が使う「からだキット」の教材を用意する工程ではグループでささっと分担をわけて流れ作業であっという間に出来上がりました。また学生達の手先がとても器用なことにびっくりしましたが、今思えば美しい伝統工芸品がお土産として有名なラオスですから当たり前のことかもしれません。作りながらも、「古くなった服で作ればいい」「紐をむすんで長くすればいい」など、今後自らやるときのことをシミュレーションした発言が出てきて嬉しい限りでした。その後の進行練習でも話す内容を自ら考え練習し、ほかの学生が意見を言って作り上げるという、グループワークが順調に進みました。


 お昼休みを挟んで、いよいよお隣のトンカム小学校でworkshopの本番です。全部で30名いた学生達は15人ずつ、最初にworkshopをやるグループと2番目にやるグループに分かれます。お昼休みの間に先生役の学生はかなり練習をした模様。教材を配ったり、わからない子供のサポート役の学生も配布するキットを順番通りにきちんとセットしていたり準備万端でやる気にあふれていました。

 最初のグループが順調にすすめる様子を2番目にworkshopをやるグループはメモをとりながら真剣に見つめていました。そして最初のグループの良い点を取り入れ、悪い点は改善するように話し合っていたらしいです。2番目のグループも楽しく、スムーズにworkshopが出来ていたのはもちろんのこと小学生を前に呼んで発表させたり、より教える側と生徒側とが一体感を持ったworkshopとなっていました。

全てのworkshopが終了した後はすっかり意気統合した学生達と写真撮影や意見交換をしました。私たちの「からだキット」を学生達はとても気に入ってくれたようで、workshopの手法も今後使っていきたいとコメントしてくれました。

 

 今回のラオスで行ったworkshopを振り返ると、ラオスの学生達の非常に熱心に取り組む姿、そして意見交換をして自分たちで工夫をする優秀さに驚かされたことが一番印象に残っています。

 教科書を使用するだけの一方通行の授業ではなく、自らの手を動かし五感を使って楽しく学ぶというtocotocoの手法を、ラオスの学生達に伝えることができたと同時に、更なる工夫や発展を彼らから学びました。ラオスの教員の卵である学生達にとって、このworkshopがこれからの教員生活の良き第一歩となることを願っています。

 

 最後になりましたがこのラオスでの活動は多くの方々のサポートにより実現することが可能となりました。バンクン教員養成学校の先生方、トンカム小学校の先生方、現地で海外協力隊として活躍されている皆さま、写真サポートをしてくださった方、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

 また、今回は東銀座のcafe634にて募金をいただきました。いただいた15078円で当日使用しました教材(布・用紙・はさみ・色鉛筆・マスキングテープ)を購入し、使用後のはさみや色鉛筆は現地で今後も使っていただくように寄付いたしました。

教材が少ない学校ですので大変喜ばれました。どうもありがとうございました。